えいのうにっき

a-knowの日記です

CSMの手元に常に置いておきたい一冊。「#カスタマーサクセスプロフェッショナル」を読んだ

上記のとおり、昨年参加していたカスタマーサクセスのセミナー、「実践カスタマーサクセス」のテキストでもあった、「カスタマーサクセス・プロフェッショナル」をご恵贈いただきました。

www.eijipress.co.jp

上記セミナーには、この本のメモや感想を取りつつ参加していた。ようやく出版の日を迎えるということで、それをpublicな場にも残しておきたいと思う。

第1部 カスタマーサクセスとは何か、なぜそれは素晴らしい仕事なのか

第1章 カスタマーサクセスマネジメント――新たなプロフェッショナル職の登場

  • 不確実になりがちなマクロ経済環境の中で、今の顧客基盤を維持して売上成長を目指すなら、CEOや事業部門のトップが「カスタマーの成功に執着する」ことは不可欠であり、カスタマーサクセスの哲学にのっとって適切に行動計画をつくりリソースを配分することも必須だ。 - Splunk CCO ジョン・サビーノ

  • いま取り沙汰されている「デジタルトランスフォーメーション」と「カスタマーサクセス」、実は対となるようなものなのかもしれないな、とか思った

第2章 カスタマーサクセスマネジャーの役割とは

  • カスタマーサクセスマネジメントは、カスタマーが望んだ成果を達成できるように積極的に働きかける管理プロセス
  • カスタマーサクセスマネジャーとは
    • カスタマーと関係を築き、カスタマーの要望を深く理解し、要望を満たせるよう自社プロダクトまたはサービスを戦略的に提案し、カスタマーが望む成果をあげるまで戦術的かつ積極的な行動をとり続けられる能力のある人
    • カスタマーサクセスマネジャーにとって最も重要な評価項目は、リテンション、すなわち、ある期間に維持できたカスタマー数の割合、またはそのカスタマーとの契約に基づく収益額の割合
      • カスタマーに取引を継続したいと思わせること
      • チャーンを防ぐこと
  • コンサンプションギャップ
    • プロダクトがカスタマーに提供できる価値と、実際に提供できている価値の違い
    • カスタマーサクセスマネジャーは、変動の多いコンサンプションギャップを内側から埋める職種といえる
    • 「成功ブリッジ」を連想した
  • 働くならば、常にイノベーションに努め、製品の可能性を広げようと模索する会社にすべきである。そういった急成長中のイノベーティブな会社に在籍しているなら、カスタマーサクセスマネージャーの直面する最大の問題は、プロダクト性能の進化にすべてついていくことだろう。十分なカスタマー対応をするためには、自社プロダクトのきわめて高度な理解が必須である。そうしてこそ初めて、カスタマーにとっても自社にとってもメリットのあるかたちで、コンサンプションギャップを埋めることができる。

  • カスタマーサクセスマネージャーの最も重要な評価項目としてリテンションがあげられているが、これは大いに理解できるものの、カスタマーサクセスマネージャーだけの手柄ではないとも思う(プロダクトそのものが十分に良い、他に選択肢がない(行動ロイヤルティ)、など)。
    • (セミナー内での回答)カスタマーサクセスマネジャー(CSM)の評価項目、その前提として、ロール&リスポンシビリティについては、米国でも様々な実務があり、唯一絶対の解はない。各社ごとに、「うちは(今は)これが一番ワークする」というのを見つけているのが実態。

第2部 優れたカスタマーサクセスマネジャーの必須スキル

第3章 あるカスタマーサクセスマネジャーの1日

  • カスタマーサクセスチームは、一体となって会社リソースの使いみちに気を配ろう
  • 誰だって、カスタマーのチャーンを予測できなかったカスタマーサクセスマネージャーになりたくないだろう うひー
  • 改善要望を出しておきます、という回答は論外だ。目の前の問題解決に手をつけなければならない。
  • 同じ状況はめぐってこない。だから、常に新しいチャレンジができる。
  • カスタマーサクセス従事者が仕事をするときの心得リスト、みたいなかんじだった

第4章 変わり続けるビジネス界で求められるカスタマーサクセスマネジャーのスキル

  • カスタマーはプロダクトに対してフィーを支払っているのであり、あなたに気持ちのいい対応をしてもらうためではない。
  • カスタマーサクセスマネージャーの重要な業務に、カスタマーを代弁してプロダクトチームに働きかけ、継続的なプロダクトの改善につなげるという側面がある
    • ほんとうにプロダクトを改善しなければ対応できない状況なのか否かを判断できなければならない
    • プロダクトを深く理解していなければ、カスタマーがそれぞれ直面している課題が解決にふさわしいかどうかを判断できない
  • 「改善依頼を出しておきます」という無難な反応をしてしまうのはよくない
    • カスタマーの課題解決というゴールを念頭におき、想像力を働かせながらプロダクトの機能をつぶさにレビューし、同僚にカスタマーの適用事例を共有してもらい、複数の代替案をブレインストーミングすべき
    • 将来的なプロダクト改良に役立つ新たなインプットを掘りおこすこともあなたの仕事だが、改善要請を選別して、担当するすべてのカスタマーにとり最大の価値とインパクトあるものだけをプロダクトチームにつなぐこともあなたの職責だ。
  • プロダクトのビジョン・ミッションへの理解とその実現に必要なもの・不必要なものへの理解、というものも必要そうだよなぁ

第5章 カスタマーに共感し関係を構築する方法

  • 自分の「カスタマーサクセスマネージャーとしてのモットー」( xxのカスタマーサクセスマネージャーとしてどのような姿勢で業務を遂行するかを1ページで短く宣言せよ )、考えるとしたらどんなものになるかな......
    • 「自分たちの顧客に対する解像度」は意識したいかな。データも大事にしたいし、それまで顧客と直に接してきたメンバーの肌感も大事にしたい。
    • それらを高いレベルですり合わせて、解像度を高めて、高品質でスケーラブルなカスタマーサクセスを提供できるようになりたい。
    • プロダクトやサービスの品質の一部となるようなカスタマーサクセスを実現したい。

第3部 カスタマーサクセスの実践

第6章 準備で信頼を勝ち取り、課題解決コンサルタントのように質問する

  • カスタマーサクセスプラットフォームの価値を何倍にもする「5大データソース」
    • プロダクト利用状況
    • テレメトリーデータ
    • サポートチケット情報
    • ユーザーが修了したトレーニングや取得した資格や調査結果(NPS、顧客満足度、カスタマーエフォートスコアなど)
    • 進行中のプロフェッショナルサービス案件
  • 準備に時間をかけるの、性に合ってる気がする
    • とタイトルで思ったけど、ここで語られているのはデータの重要性についてだった
    • と思ったけど、 予習を怠らない は超わかる...。。
  • まさに「カスタマーサクセスプロフェッショナルハンドブック」という感じの内容だった
  • 何を作り、何を提供するか。に加えて、提供し続けるものは何で、そのために何をしておくのか。まで考えられている、実行できている、というのが、既に当たり前に求められるものの水準になってるんだよなー。。

第7章 カスタマーを成果へ導くジャーニーを定義する

  • セグメンテーションが改善するほど、カスタマーマネジメントも改善する
    • 最も有効なセグメンテーションは、バリューセグメンテーションと呼ばれる
      • 自社にとっての価値の高さでカスタマーを分類すること
    • 効率性を基軸にした方法、つまり自社プロダクトやサービスに関連するセグメンテーションも検討できそう
  • ライフサイクルごとにジャーニーを考えるの、よさそう
  • TTVまでのマイルストーンをセグメントごとに設定するの、たしかに大事そう
  • 自社プロダクトやサービスを利用したカスタマーが、成功するだけでなく、最も人間らしい感情を喚起するようなポジティブなジャーニーを体験できたとしたら 、これ以上ない差別化要因になりそうだよなぁ

第8章 「真実の瞬間」によりカスタマージャーニーを現実化する

  • 何よりとにかく重要なのは、カスタマーがどう感じるかだ。
  • 組織変更や財務の最新情報など、あたなの会社の簡単なバックグラウンドやアップデートもするといい はなるほど感
  • 自動更新の場合でロイヤルティ顧客であっても、契約更新の120日前に連絡すべき へー!

第9章 ヘルススコアを活用してカスタマーを管理する

  • カスタマーは、プロダクトやサービスに対する満足度を伝える「シグナル」を、明示的にも暗示的にも常に発しているという考えに基づいた概念
  • プロダクトやサービスの利用を開始したばかりのカスタマーには、価値を感じられるようになるまで、かなり手をかける必要がある。
  • カスタマーヘルスを測定したら、懸念すべきあらゆる兆候の発生時に備えて、自社のしかるべき部門を巻き込んだプレイブックを用意しよう
  • 完璧なヘルススコアはない。知見の蓄積とともに進化と変化をし続ける。
  • カスタマーサクセス担当にとり、究極的に最も価値があるのは人とのコンタクトだ。
  • センチメントスコア、これだ!と思っちゃったなー。

第10章 カスタマーの声(VoC)とテックタッチを活用する

  • カスタマーからフィードバックを受け、しかるべき対応をするまでのプロセスは、通常のワークフローの一部であるべき

第11章 カスタマーのビジネスの目標達成を支援する

  • 当然だが、プロダクトが優れていなければアダプションは格段に困難となる。そのため、自社プロダクトに対するセンチメントと実際の利用状況をしっかり理解することが必要不可欠だ。うまく使いこなせない機能、高く評価している特徴、使い勝手が悪いと考えている部分がどこなのかを把握し、現在そして将来のカスタマーに代わって、よりユーザーフレンドリーなプロダクトとは何かを、自社のプロダクトチームに伝えるのだ。
  • 成功するには最高のプロダクトが不可欠
    • そもそも、カスタマーのニーズに合致しない、標準以下のプロダクトに価値があると思わせるのは、カスタマーサクセスとは何かとの概念に根本的に反する。
    • 結局のところ、確実に契約を更新させたければ、カスタマーにプロダクトを利用してよかったと思ってもらうほかない。なので、自社プロダクトの改良が、カスタマーサクセスマネージャーの優先順位のトップにくるのだ。
      • これは、デジタル時代のカスタマーの期待値というものを熟知しなければならないことも意味する
  • カスタマーサクセスマネージャーとして、全ユーザーにすばらしいカスタマー体験を提供するにはどうすればいいのか?
    • それは不可能だ。究極、すべてのユーザーに優れた体験を提供できるのはプロダクトだけだ。つまり、個人単位で成果達成が可能なのはプロダクトだ。
    • 最も広範囲にカスタマーサクセスを提供できるのがプロダクトであることに疑問をさしはさむ余地はない。
  • 「最高のプロダクトと自分との間に接点が発生する」という点も、自分がカスタマーサクセスに惹かれてる大きなポイントなんだと思ってる。

第12章 収益を拡大する――エンゲージメント、積極的リスクマネジメント、チャーン分析、契約拡張、推薦獲得

  • 調査や利用状況データで満足せず、先入観を排してチャーンの理由を探ることが重要
    • カスタマーと本音で忌憚のない対話を重ねる、それを多数のカスタマーと実施する、そうすることで共通パターンを見出すこと
  • 全般的にとてもよかった、見返したい。

第4部 優れたカスタマーサクセスマネジャーを育成し、流出を防ぐ

第13章 カスタマーサクセスチームの運営

  • デジタル接点を徹底活用し、更新、拡大、アドボカシーの機会が高いカスタマーにカスタマーサクセスマネージャーの時間を集中させることが何より重要
  • 「共有」または「プール」されたカスタマーサクセスマネージャーを置く会社もある
  • 最適なカスタマーサクセスマネージャーのカバレッジ率を決める際の注意事項
    • リテンションや収益成長に関する理想の目標の数字がまずあって、それを達成するのに必要な最低限のエンゲージメントは何か?を明解にするための分析をしなければならない。
  • 注意すべきはチームの「存在価値」を明示するために、最初から遅行指標の財務インパクトに紐づけてカスタマーサクセスマネージャーの活動を測定したり報酬制度を設計したりしてはいけない、という点

第14章 カスタマーサクセスマネジャーのキャリアパスをつくる

  • カスタマーサクセスの人材プールをより戦略的に捉え、他の機能部門の人材の異動先、すなわちコンシューマーであると同時に、他部門に優れた人材を供給するサプライヤーであるとする先鋭的な企業もある

おわりに

今現在自分は「カスタマーサクセスエンジニア」という職種名ではあるけど、広義ではCSM(カスタマーサクセスマネージャー)に該当する働き方をしていると思っている。「カスタマーサクセスプロフェッショナル」は、そんな僕の机の上でも一等地の位置に、常に置いておきたい一冊です。