えいのうにっき

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「ほぼ日」の、就職論。

先日、「はたらきたい。 - ほぼ日の就職論」を読了しました。


はたらきたい。

はたらきたい。


「ほぼ日」といえばこの人・糸井重里さんが、「働くということ」をテーマに、人材企業の社長から始まり、漫画家、音楽家、お笑い芸人・・・といった幅広いジャンルにおいて活躍する人々との対談内容を、一冊に纏め上げたもの。対談相手は、下記の通り。また、下記に限らず色々な方の「金言」が、ページの端々に添えられてもいます。




あまりに青臭いタイトル・・・と、侮るなかれ。これは、本を読んだ僕個人の感想ですが、これから就職活動をして就職しようという人よりもむしろ、就職を無事終えて、なんとか日々の社会生活に慣れてきたかな?という人にこそ、読んで欲しい本です。たぶん、就活時にこれを読んでいたとしても、これを“糧”にできるほどの余裕はなかっただろうなー、と思う。おそらく、多くの人がそうだったんじゃないのかな?
「就職して、終わり」だと思いこんでるのなら、それはあまりにももったいないこと。今一度、自分の前に拓かれている可能性を再確認して、再度、自分の進む道・進みたい道について考えるためのきっかけを与えてくれる、そんな本だなぁと思います。


以下、感想をつらつらと書き連ねたいと思います。あと、なんか「今週のお題2009年秋の読書」にも丁度いいんで、それも兼ねて。笑


きっと、生きていく上でも大事なこと。

河野「新卒の面接をやる場合、「君がさ、これまで大切にしてきたことって何?」という、ものすごく概念的な質問で十分なんですよ。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.30-31


本を開いて数十ページで、一貫してこの本の根底にあるような、結論に近いことが集約されている言葉だなぁと思います。
「自分が、今まで大切にしてきたこと」。何も、就職に際してのことだけに限らず、人が活き活きと生きていく上でも、大事なことなんじゃないかなぁ。

ふたつのルール。

糸井「当時と今の共通の問題として言えるのは、働く個人のなかに、社会の約束事と、自分がそれまで大事にしてきたことの、ふたつの法律があるっていうことですよね。 (中略) 今、「就職」というものを目の前にして揺れ動いている人っていうのも、そのふたつのルールのあいだで、ゆらゆらしているんだと思うんですよ。(中略)」
寿「うん。大事なことがふたつあるんでしょうね。それを、自分のなかで一生懸命つなげようとしたりとかね。」
糸井「あああ、つながんないのに。」
寿「そうそうそう、つながんないけど。」
糸井「でも、つなげようとすることをあきらめたら、きっとその人じゃなくなっちゃうんだろうね。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.62


読んでいて、ずしりと重く、それでいて強く共感した言葉。そうそう、「僕が僕でなくなる」のが、すごく怖いんだ。だから、「つなげよう」とするし、それをあきらめたくもない。
ただ・・・人生経験豊富な糸井さんや寿さんだから、それらが「つながんないのに」というふうに思えるのかもしれないけれど、僕はまだそれを、(とても難しいことだとは思いつつも)「絶対つながんない、なんてこたないだろう」と思ってる。・・・だからこそ、あきらめないでいられるのかも、しれないけれど。

お互いを「見る」ということ。

糸井「採る側も採られる側も、本来は動いているのに「いっしょに歩きながら互いを見る」ということができない。今のあなたと、今の私が、止まって出会うから不自由なんだ。

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.73


採用試験・面接において、相手が「一緒に働きたい相手か否か」を判断することの難しさについての話の下りでの、糸井さんの発言。この一端を解消しうるツールのひとつとして、ブログがありますよね。「自分がどう動いてきたか」の軌跡をブログに綴っておくことで、少なくとも「採られる側」の動きを「見せる」ことは、できる。
こちらのエントリ「ブログはキャリア構築にとって必要なインフラとなるか? - ハックルベリーに会いに行く」が、まさにそれだと思うのです。。

「よろこび」を得ることは、単純に、楽しい。

(就職して、カツカレーを迷わず頼めるようになったことや、「ボーナスってなんでも買えちゃう」というような話の流れで)
糸井「そういう「得るよろこび」が、就職とか、働くことを考えるときに、語られなさすぎるような気がするんです。(中略)
「うれしい」という話が欠けてるんですね。そういう正直なことを言う人が今は、いないのかもしれない。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.94


ううん。たしかに、自分が就職活動をしてたときも、あまりこういう話は聞かなかったかもしれない。丁度(?)、僕の弟が就職活動中。一度、ちょっと話をしてみるか・・・(なんかヘンな自慢話みたくなっちゃわないかな 笑)

「お金」とは。

糸井「やっぱり、お金って、いろんなものを計る、わかりやすい尺度なんですよね。それを通して、「自分にとって何が本当に大切なのか」ということがわかったりする。逆に、お金に不自由しているというだけで、本当に大切にしてるものが何なのかが、わからなくなったりもする。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.97


“より多くのお金をもらえることよりも、自分が大事にしたいものがあるんだ”、と・・・。。お金に余裕がある環境で、お金に困りそうな環境に飛び込むことを「大丈夫、平気さ!」と(半ば妄信的に)信じているだけの状態は、何ら覚悟ができていないことと同じなのかも、しれないな・・・。

「正解」を目指すんじゃなく。

瀧「手塚治虫になれなかったから、じゃあ失敗かっていうと、そうでもない。」
天久「正解はなくて、どちらかというと、いかにオリジナルの間違いをするか、という感じすらあります。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.147


これは、クリエイティブな方面に限ることなのかもしれないけれど。でも、エンジニアも、クリエイティブな仕事、だよね??

やりたいこと、やってみたいこと。

瀧「「やりたいこと」と「やってみたいこと」は、意味が違うんです。やってみたいことをやりたいことにカウントして、「うーん」って考えてると、わかんなくなっちゃうんじゃないでしょうか。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.166


これ、すごい!と思いつつも、肝を冷やした、ピエール瀧さんの発言。自分のことを信じて、それに突き進むことは大事だけれども、最低、この二つの区別は付けられるぐらいの冷静さは、常に持っていないといけないのかも。

偶然の享受と選択。

金井「わたしも、偶然の要素に任せることは必要なことだと思っています。でも、すべてを偶然に任せるんじゃなくて、キャリアのなかの「節目」だけは自分でデザインしなければならないと思っているんですよ。」
(中略)
糸井「その「キャリアの節目」では、何を問いかけるべきなんですか?」
金井「自分は何が得意なのか。どういうことをやりたいのか。どういうことをやってる自分だったら、意味あることをやってると感じられるのか。つまり、自分の能力に関するイメージ。それと、動機や欲求ですね。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.187


あまり考えすぎず、ある程度は偶然に身を任せるのもよいのでは、・・・という話の流れでの発言。この「問いかけるべきこと」って、ほんと、日々の仕事に没頭してると考えるヒマがない(考えることがジャマになる)ことだと思うんですが、だからこそ、「あ、今、自分はキャリアの節目にいるな」と思ったら、無理矢理にでも引っ張り出してきたい「自分への問いかけ」なんじゃないかと思います。

これからの「はたらきかた」。

糸井「働くということについて思うのは、たぶん、これからは、今まで以上に「公私混同」して仕事をするべきなんじゃないかということなんです。 (中略) これからは、たとえば、いち消費者として不満に感じていることを仕事面にフィードバックさせてモノやサービスを生産していく。

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.193


これを見て、とある職人さん−−−はからずも車椅子を手放せない体になってしまったが、既にある車椅子はどれも「カッコイイ」ものではなく、ないのなら作るまで、と、「カッコイイ」車椅子を作って販売するようになった方−−−の話を、思い出した。そういう人って、純粋に「カッコイイ」。それにきっと、そうしたほうが、より良いものができるだろうし。
「公」と「私」を「つなげよう」とすること、これも僕は、あきらめたくないなぁ。

金井「「仕事」を「遊び」のように楽しめる人でないとできないことが、開発の世界やものづくりの世界にはあって、そういうのにふれると、本当に感動するんですよ。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.195


・・・そう、そういうことなんです。笑

変わり行く時代それぞれにおける、モノの「価値」。

矢沢「ダウンロードできないものか、逆に、とことんダウンロードできるものか、どっちかだと思った。真ん中じゃもうダメだと思ったね。」

はたらきたい。ほぼ日の就職論 - P.220


今までの引用とは少し毛色が違いますが。矢沢永吉さんのことはあまり詳しく知らないんですが、「おお。スゲー」と思ったので。
音楽界のトップに君臨しているからこそ、できる発言なのかもしれないけれど。

さいごに

さいごに、この本の各所に散りばめられている金言から、好きなものを引用して終わりにします。

大瀧詠一「続けている人っていうのは、何か、その使命に動かされている人だというふうに俺は思うの。辞められる人は、それじゃない別の所に使命があるのを発見したんだよ。」

加藤麻理子(障害馬術競技選手)「ある大先生が「練習馬場で乗ってるときは、自分がいちばん下手だと思いなさい」と。「でも、一度競技場に入ったら、世界一上手いと思いなさい」と。」

重松清「仕事って、たぶん、自分の居場所を好きになるところから、始まるんだと思うんです。」

原丈人(実業家)「あたまで考えたあとは、腹の底からやりたいと、思ってるかどうか。これです。」