えいのうにっき

a-knowの日記です

EMConf 2026 #emconf_jp 参加してきたメモ

参加してきた。半年ぐらい前からプレイングマネージャーを任せてもらっていて、なおかつ、「そこから "プレイング" を外すのもそう遠くない未来にしなくちゃいけないね」、という感じの状況に置かれており、そんな自分の "やっていき" を高められるかな?と思った、というのが参加のきっかけ。シルバースポンサーとして協賛した社のスポンサーチケットが余っていたので、というのもある。

結果、参加してとてもよかった。もちろん各種セッションが良かったということはさることながら、同志、というか、プレイングマネージャー半年の自分にとっては先輩たちばっかりだけど、そういう人たちがこれだけいるんだ、ということに謎の心強さをもらえた。さっそく実践してみたいな、と思えることもいくつかあった。

700人近くの参加者がありながらも、とても安定感のある運営で、これが開催2回目のイベントである、ということを知ったのはすべてが終わってからのことだった。

EMconf って前回が初回で今回2回目の開催だったのか。全然知らなかった……!

a-know / Daisuke INOUE (@a-know.bsky.social) 2026-03-05T02:11:07.582Z
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来年(次回)開催されるかどうかは未定、とのことだったけど、ぜひまた参加したいなと思った。

以下、セッションなどのメモ。

EMConf JP 2026 基調講演 - 冒険する組織のつくりかた - 安斎勇樹氏

組織論の再定義として「冒険的世界観」に基づくマネジメント手法の提案。従来の管理手法は「実は軍事的な考えや発想に基づく管理手法」とし、「現代の価値観や労働市場に合わなくなってきている」「代わりに不確実性を前提としたアプローチが求められている」として、「冒険的組織」を目指そう、というお話だった。

特に、「目標のマネジメント」のためのプラクティスとして紹介された「ALIVEの法則」では、内発的動機を高めることが重要としていて、ここには自分もとても共感を覚え、ワクワクもした部分だった。それ以外の「興味のマネジメント」「会議のマネジメント」「文化のマネジメント」についても興味をそそられるお話があったのだが、全体として時間が足りなかったのが悔やまれた......。お話にはとても引き込まれたので、「問い」に関する著書は読んでみたいかも。

2026.emconf.jp

自律型組織の真実:『甘い自走』を捨てて導いた、EMによる戦略的組織変革 - masayasu-sano氏

「甘い自走」というキーワードにぎくりとしたこともあり、聴講。おそらくどの組織も問題は山積みななかで、「全部を一気になんとかしようとするのは間違い」と断言し、では何から手を付けるか?としたときに「意思決定」を挙げられていたのは一定の納得感があった。チームの自律性を高めるためには、明確な意思決定の枠組みが必要であり、そのためにmasayasu-sano氏「信号機」のようなプロトコルを制定した、とのことでした。タスクを緑(報告)、黄(相談)、赤(承認必須)の3つのカテゴリに分類する、というもので、これにより「EMの承認」というボトルネックが排除された、とのこと。

自分としては、プロトコルを揃えることで意思決定に関する迷いを減らしてあげた、現場主導で進められる範囲が明確になった、みたいな話かなーと理解しました。よさそう。

speakerdeck.com

越境する組織づくり ─ 多様性を前提にしたチームビルディングとリードの実践知 - Kido Haruhi氏

タイトルから、「いわゆる部署をまたぐような "越境" かなー」と思いきや、実際に話を聴いてみると「国境をまたぐ方の "越境"」でたまげました。w すごい。

言語能力に依存しない効果的なグローバルチームの構築に焦点を当てたお話でした。「目的や判断軸(Why)を揃えることによる誤解の軽減」のところで、「何を、どうやるかだけを合わせても、Whyが違うと解釈は必ず割れる、が、Whyは自然には揃わない」「何を大事にしているか、という判断の基準を明確にする」というあたりはとても良かったです。とはいえ、僕も前職ではグローバル共通の言語が英語な外資系企業に身を置いていたけど、もうあの環境に戻りたいとは......思えないですね......(遠い目)。

speakerdeck.com

マネージャー版 "提案のレベル" を上げる - こにふぁー氏

よかった。おそらく、喋りたいこと・話せることはもっともっとあるのだろうけど、「この日の参加者が "提案のレベル" についておのおの考えを巡らせ始めるきっかけを与える」、ということにフォーカスされた、見事な引き算の結果としての発表だったように感じた。

「理解と覚悟」、理解しようとする姿勢はもちろん大事だけれど、「一発でスマートに提案できることばかりではない」「ふりかえりと軌道修正を前提とした提案をしよう」「一人でいきなり高いレベルを目指さなくていい(進んでコテンパンにされにいこう)」、と、とても愛に満ちたエールをいただけたような気持ちになりました。こにふぁーさんの実際の具体例が複数あったのも、イメージを持つ助けになってとてもよかったですね。

speakerdeck.com

"ところ展"

おもしろいのもたくさんあってとてもよかった。

トップマネジメントとコンピテンシーから考えるエンジニアリングマネジメント - 山口 徹氏

個人的にドラッカーのマネジメントに触れたばかりということもあり、比較的すんなり聴くことができたセッションだったかもしれない。エンジニアリングラダーは、もっと日頃のコミュニケーションとかにも活用してもいいのかもしれないなー。

speakerdeck.com

守る「だけ」の優しいEMを抜けて、事業とチームを両方見る視点を身につけた話 - mitsui氏

これも「守るだけの優しいEM」というワードにぎくりとしたので聴講。「信じていた理想のEM像」として紹介されていたものは自分にとっても違和感のないものだったけれど、それを免罪符にしてはいないか?とか、「支援が停滞に変わる」といったところは、いかにも陥ってしまいそうなポイントで、ただそこでゴリっと切り替えることのできたmitsui氏はすごいなと。「事業の推進」と「チームの健全さ」のトレードオフに迷ったときには「その意思決定が、企業価値にどう影響するかで考えればいい」というのも至言だなと思いました。

speakerdeck.com

開発組織の課題解決を加速するための権限移譲 ~する側、される側としての向き合い方 - daitasu氏

「する側、される側」という表現にぎくりとしたので聴講。emconfは本当にぎくり駆動だったな.....。

権限移譲と責務明確化を通じた開発組織の課題解決に焦点を当てた発表。「権限と責務の移譲は、当事者とその周囲をセットで巻き込もう」という結論は、最近読んだ「他者と働く」という本の中で語られていた「適応課題」「ナラティブ」「溝を渡り橋を設計する」...といったキーワードを連想させてくれるものでした。

speakerdeck.com

AI時代、mentoが考えるマネジメントのサクセスとその実践 - 松山 勇輝氏

CTO of the Year すごい。発表は、AI時代におけるエンジニアリングマネジメントの役割と、その成功のための戦略について。エンジニアリングの現場ではAIの導入により個人の生産性が向上する一方、意思決定がボトルネックとなり、成果の向上が停滞している、とのこと。管理対象の拡張が進む中で、マネージャーの負担軽減とメンバーの自律支援が求められている、とも。それに対しては、データを活用した意図の可視化や、継続的なパフォーマンス管理の文化を築くことで対処できる、とも。

熱弁されていたのが「マネージャー自身の行動変容を支援する仕組みも必要」ということで、大変身につまされるお話でした。。

fortee.jp

EMConf JP 2026 基調講演 - AI Coding の先にある、Engineering Manager の本当の仕事 - 藤倉成太氏

AIがソフトウェアエンジニアリングとエンジニアリングマネジメントに与える影響についてのお話。

AIは、製品価値や働き方を変革し、エンジニアリング作業の多くを自動化・標準化することで、エンジニアの役割を再定義している・ルーチン作業は代替される一方で、戦略的判断や技術的決定、責任を持つ能力は依然として重要、と藤倉氏。「責任を持つ」っていうのは結局は「なんとかする」ってことで、「なんとかする」ための道具としてそこでもAIを使うことは、最終的に "なんとか" なるのであればそこは問題じゃないんだろう・一見行き詰まったように見える問題を "なんとかできる" のは、今はまだ人間しかいないよね、と、そういう話なのかなと思いながら聴いていた前半。

後半の、AIの台頭によりチームがどうなるか、というお話はとても興味深かったですね。AIの恩恵でチーム人数は減る可能性があるが、残る役割は責任が重くなり、密な協働が必要になる。クロスファンクショナルで多能工の小規模チーム(2~3人コア)が増えるかもしれない、と。マネージャーは依然必要であるものの、ルーチンワークとしてのプロジェクト調整やプロセス管理といった仕事から、高次元での技術選択、人材・組織管理、迅速で責任ある意思決定支援......といった仕事へと焦点を移す必要がある。チームの規模は小さくなるからといって、そのぶん複数のチームを見ましょうね、とはならないんじゃないか、というお話は興味深かったですね。

2026.emconf.jp

お疲れ様でした!

会のあとは、社が主催した非公式懇談会でEM談義に花を咲かせました。

x.com

とても素晴らしい場・機会でした。運営の・登壇者の・参加者のみなさま、本当にありがとうございました。