えいのうにっき

a-knowの日記です

「ブラック」を忌避しすぎていていいのだろうか、と、時々思う

新卒入社した会社で、入社時〜2年目くらいに指導・教育してもらったことで、今の仕事でも活かされていることって、結構あるよなと最近思うことが多い。 それは、技術的な分野のものは正直、一切なくてw、メンタリティの部分というか「おもてなし」な分野というかなんというか、まぁ、そんな感じの領域。あんまり具体的なことを書いても瑣末すぎるんだけど、「あんな雑用を先輩にやらせてどうすんだ!」とか、「仕事の依頼でもなんでも、受け手がどう受け取るかを考えてやるようにしろ!」とか、「誤字脱字があるようなドキュメントに書いてる内容なんて、そもそも信用に足らん!受け取らんぞ!」とか、なんとかかんとか。最初の2,3年は、こんな感じのことで怒られてばっかりだった。

言われた側は、その瞬間瞬間はどうしてもマイナスな感情を抱いてしまいがちになる。当然僕もご多分に漏れず、当時はしょっちゅう周りに愚痴ってたように思う 笑。それでも進んでその嫌われ役を買って出て、根気強く指導してくれた当時の上司には、今では本当に感謝しかない。

仕事でも、昔在籍していた部活(スポーツ系)でもそうだけど、「自分が先輩にやってもらったことは、後輩にも伝えていかなきゃならん」ということを意識してきてた。ただ、それをやるとこの昨今、「ブラックだ!」「社畜乙!」となりそうな予感しかしない。

でも、前述した通り、それによって身についたことが今の仕事・社会人生活で活きていることって、本当に大きいと僕は感じているのだ。(もちろん、もうちょっと他の言い方もあったんじゃないかな...とは今でも思うこともあるけどw)

「新卒を採用すること」って、社会に対して責任重大だと思う

「ブラック」っぽくなることを忌避しすぎていていいのだろうか。Web系やソシャゲ系などの、新進気鋭のIT企業は、そうした一見「古臭い」「ブラックっぽい」要素を排除した、ある意味理想的な雰囲気(理想的な環境を目指そうとする雰囲気)に満たされた職場であることが多かったり、それをアピールしていることが多いように思う。そして、それらの企業での人材採用は、今までは、「嫌われ役を買って出た企業が教育してくれた人材」を、どんどんと積極的に採用してきた。悪い言い方をすれば、上澄みをおいしく頂いているイメージ。

...ホントにイヤな言い方になっちゃったけどw、でも、そのこと自体は全然問題じゃない。そこまで苦労して育てた人材が流出したのは、彼ら彼女らをちゃんと自社内に留めようとする努力を怠った結果なんだろう。でも、今まで中途採用が中心だった前述のような企業も新卒採用をするようになって、さて、「嫌われ役」を演じることはできているんだろうか。

理屈では「それぞれの職能が果たすべき役割さえ全うできればいい」「所属する組織の成果に貢献してくれさえすればいい」、のかもしれないけれど、人と人とが同じ場所で関わりあいながら仕事をしていく現場では、それはキレイ事のようにも思えるのは僕だけだろうか。理想的な社会には、残念ながらまだなっていないし、今を生き・仕事を共にしている人たち(もちろん僕も含む)が現役の間は、たぶん、完璧な理想の社会になることはないんじゃないだろうか(それを目指そうとすることは大事だと思うし、そこは否定しない)。

できる人もいる「それ」ができないこと、できるようになるためのチャンスやきっかけすら与えないことは、その人が現役を引退するまでの人生(何歳かは知らない)にとってマイナスに働くこともあるんではなかろうか。特に学校を卒業したばかりの、社会人になりたてのような人は、それが自分はできるようになる必要はない、と思い込んでいる可能性もある。もちろん自身のキャリア、スキルを決めるのは自分自身だし、これは僕自身についても同じで僕は僕で精一杯だから正直知ったこっちゃないのだが、社会の一員として、自分の会社を入り口としてその人を受け入れるということは、その後のその人の人生の可能性を狭めてしまうようなことにもなりうる、という責任を感じる必要もあると、思っている。

こういうのを言うのって、「自分も苦労してきたんだからおまえらも苦労すべき」みたいなニュアンスになりがち・とられがち(いわゆる「老害」か)だからイヤなんだよね。あ、それを「嫌われ役」っていうのか。 というか、「嫌われ役」っていうのが間違ってるのか。「ブラックだ」と解釈することもできるようなことを、「ブラックだ」と解釈させてしまうようなその人同士の関係性にこそ、問題があるのかもしれない。あとはそもそも、どれが本当の「ブラック」で、どれが本当はそうではないのか、の見極めの必要もあるか。ただ、「ブラック」が必要な時期に既にそのような見極めができたり、関係性が出来上がっていることは、まぁ稀なんだろう。

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